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高経年マンションの一括売却について

前々回のトピックスで、新築マンション販売が好調であることと、その半面、長期マネジメント計画の不備や既存マンションの「老・老」化問題があることをお話ししました。そして、耐用限界を迎えるマンション(以下、高経年マンション)は、その最終期に、基本的に「建替え」もしくは「一括売却」という選択肢のうちの一つを選択しなければなりません。今回は、この「一括売却」についてお話しします。

 

先日まとめられた2014年度の税制改正大綱の中には、高経年マンションの売却と解体をしやすくする税優遇措置が盛り込まれました。1981年以前の旧耐震基準で建築されたマンションを一括して売却する場合に、各個人の譲渡所得にかかる税率を2,000万円以下の部分について、所得税を15%から10%に、個人住民税を5%から4%にそれぞれ軽減するというものです。また、これらに併せて、区分所有権の移転に伴い、管理組合に発生する登録免許税や不動産取得税も減免する案となっています。

 

これらの案は、高経年マンションの建て替えやオフィスビルなどへの転用・再開発を促す狙いがあるものと思われます。

 

マンション関連法規に目を向けると、現行の区分所有法では一括売却に関する規定は無く、一括売却を行う場合には、民法の規定に基づき全員合意が必要となります。そのため、国土交通省と法務省では、建替え決議と同様、5分の4の賛成で売却と解体の決議ができるように、法改正を進めるようです。

 

マンションマネジメントを事業としている私たちの実感としては、高経年マンションにおける極端な高齢化や区分所有者の非居住による賃貸の増加などを鑑みると、一括売却の決議において、5分の4の賛成ですら、それを求めるということは非常にハードルが高いと言わざるを得ません。相続問題や管理費等滞納による区分所有者が不確定な物件が発生する可能性もあります。

 

しかも、この度の税制改正大綱では、個人の譲渡所得の軽減措置は2016年末まで、登録免許税や不動産取得税の減免は2016年3月末までの期間限定となっています。期限を設定することで決議までのスピードアップを図ろうという意図があるのかもしれませんが、実質2年で一括売却をまとめるのは非常に困難であり、現実とのかい離が大きいと感じざるを得ません。

 

私たち専門家には、個々のマンションの建物および居住者の状況を常に把握し、法制度の改正情報を的確に把握し、現実に即した「最適解」を模索し続けることが求められているのかもしれません。(M・F)
[2014年1月公開]

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