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改正マンション建替え円滑化法

2014年6月18日の参議院本会議で、老朽化したマンションの解体と跡地売却の決議要件を緩和する「マンションの建替えの円滑化等に関する法律の一部を改正する法律」(改正マンション建て替え円滑化法)が可決し、成立しました。本年12月を目途に、施行される予定です。

 

そもそも何故、今回の改正に至ったのでしょうか。現在、国内のマンションストック総数は、約590万戸、そのうち旧耐震基準のものが、約106万戸存在していると言われています。それらのマンションの多くが、耐震性に問題があると予想されています。しかし、実際に建て替えが行われたのは、約14,000戸に留まっており、巨大地震の発生が予想されている中、耐震化の促進が喫緊の課題となっています。そこで、耐震化不足マンションの建て替え等の促進を図るべく、マンションの解体・跡地売却を可能とする要件の緩和が必要となった訳です。

 

改正前は、原則、区分所有者全員の同意が必要だった建物の解体・跡地売却ですが、改正後は区分所有者の5分の4の同意により、建物の解体・跡地売却が認められるようになります。また、建て替えにより新たに建築されるマンションで、一定の敷地面積を有しており、市街地環境の整備・改善に資するものについて、特定行政庁の許可により、容積率制限の緩和を受けることもできるようです。この緩和を受けられる対象となるのは耐震性が不足するマンションとなり、具体的には耐震改修促進法に基づく耐震診断を受け、特定行政庁から解体が必要な旨の認定を受ける必要があります。

 

従来でも、区分所有法では、区分所有者の5分の4の同意があれば建て替えを認められていましたが、区分所有者の意見調整には膨大な時間と労力を要します。一方、建物の解体・跡地売却については、民法に則って、区分所有者全員の同意が必要であり、実現性に乏しいものでした。改正法では、容積率の緩和による増床分を売却し、売却益を建て替え費用の一部に充てることが可能であるため、区分所有者の負担を軽減し、建て替えの合意形成がしやすくなっています。また、マンション以外の用途の建物も建設することができるなど、区分所有者だけではなく、跡地を買い受けた開発会社にもメリットのある内容となっています。売却後には、新たに建設されたマンションに再入居するか、別の住宅に住み替えるかどうか選択できるのです。

 

これらは全て、耐震性能の劣る建物を減らしたいという、国としての方針によるものです。今後発生する事が想定されている巨大地震に対し、十分な備えというものは有り得ないのかもしれません。それでも私たちは、最新の情報を区分所有者の方々に提供し、専門家としての適切なアドバイスを根気強く継続することによって、安全な住環境、ひいては安全な街づくりに、微力ながら寄与していきたいと考えています。(M・F)
[2014年08月公開]

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