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波力発電

東日本大震災で被災した岩手県久慈市の漁港に、海の波の力で発電する波力発電が今年8月に設置され、試験的な電力供給が始まります。その後2017年3月まで実証運転を続けて発電量や安全性などを確認する予定になっています。

 

このプロジェクトは、被災地を拠点に次世代エネルギーの開発を進め、復興につなげる文部科学省の「東北復興次世代エネルギー研究開発プロジェクト」の一環で、東京大学の生産技術研究所が開発を進めてきました。

 

自然エネルギーとして期待される波力発電ですが、これまでは実際に電気を使う陸への送電費用が高く、実用化に至っていませんでした。今回のプロジェクトでは、発電装置を漁港に設置するため、既存の送電網を利用できる方式です。

 

実証実験に使う発電装置は、水中で幅4メートル、高さ2メートルの波受け板が海からの波を受けて動いた後に、防波堤からの反射波を受けて反対方向にも動く振り子式で、波力を効率的に発電に利用します。最大で43kWの電力を作ることが可能ですが、波力は風力と同様に季節や天候によって変動するため、平均すると10kW程度の電力を供給できる見通しです。年間での発電量は8万7600kWh(キロワット時)となり、一般家庭の使用量(年間3600kWh)から、約24世帯分の電力使用量を賄うことが可能となります。

 

実用化に向けた最大の課題は、発電装置のコストダウンです。現在の装置では、製造コストと設置工事費を合わせると1億円程度です。年間の発電量を8万7600kWhと想定した場合、20年間の運転で発電コストは57円/kWhになります。

 

現在の固定価格買取り制度では、小型風力(発電能力20kW未満)の買取り価格が最も高くて55円/kWhです。それと同等の水準になるように、運転維持費を含めて発電コストを50円/kWh程度まで引き下げることが当面の目標となります。そのためには発電装置の軽量化などにより、1基あたり2,000~2,500万円くらいの製造コストとする必要があります。

 

久慈市の実証運転を成功させた次のステップとして、他の漁港に展開したうえで、1基の発電能力は50kW程度に抑えながら、1カ所に複数台の装置を並列に設置する方法でコストダウンと発電量の増加を図る計画です。

 

全国には漁港が3000カ所近くあります。全国の漁港で目の前の海から取り出したエネルギーを利用する「エネルギーの地産地消」が実現する日が近いのかも知れません。(レイクトラウト)

[2016年6月公開]

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