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耐震診断結果の公表

耐震改修促進法は、阪神淡路大震災の教訓から1995年12月に施行されました。2018年4月、国土交通省は、2013年11月に施行された改正耐震改修促進法に基づき、耐震診断が義務付けられた大規模建築物などの耐震診断結果を公表しました。これにより、全国約1万600棟のうち約1700棟(全体の約16%)が、震度6強以上の地震で倒壊する危険性があることが明らかになりました。

 

改正耐震改修促進法において、耐震診断を義務付けた建築物は、要緊急安全確認大規模建築物と要安全確認計画記載建築物の2つに分類されます。

 

要緊急安全確認大規模建築物は、病院や店舗、旅館といった不特定多数の者が利用する建築物、学校や老人ホームなどの避難弱者が利用する建築物のうち、一定規模以上のものを指します。国土交通省は、46都道府県の計1万600棟のうち、震度6強以上で倒壊の危険性が高い建築物は約1000棟、倒壊の危険性がある建築物は約700棟、未報告の建築物は約100棟あることを公表しました。

 

一方、要安全確認計画記載建築物は、自治体が指定する避難路沿道建築物や、都道府県が指定する防災拠点建築物を指し、耐震診断結果の報告期限は自治体が指定します。避難路沿道建築物については15都府県61市町村が対象道路を指定し、うち東京都や大阪府などが結果を公表。防災拠点建築物は29道県が対象建築物を指定し、15道県が結果を公表しました。

 

このうち、東京都では震度6強以上の地震で倒壊する危険性が「高い」建物は156棟に上り、危険性が「ある」建物を含めると、調査対象(835棟)の3割にあたる251棟で倒壊の恐れがあります。近い将来の発生が予測される首都直下地震への備えが急務であることが浮き彫りとなりました。

 

今後、国土交通省では、耐震診断義務付け建築物について特に重点的に耐震化に取り組む方針で、2025年に耐震性不足の建物を解消するという目標を新たに設定し、自治体による耐震改修促進計画の見直しを推進し、20年以降の目標の設定を促します。

 

改正耐震改修促進法では、耐震診断の実施や結果報告を義務付けていますが、耐震改修などの実施は努力義務にとどまっています。したがって、多数の居住者が区分所有する分譲マンションなどでは、耐震改修を進める場合でも合意形成プロセスが難しく、コンセンサスを得るまでには相当な時間が掛かると思われます。

 

 

自治体が建物名まで公表する制度は、耐震化の必要性が一般にも浸透した結果ともいえます。しかしながら、特に、商業施設やホテルなど、改修や建て替えの方針を定めないまま施設名が公表されると、顧客の不安を招き、資産価値に悪影響が出る可能性を否定できません。現時点で、解決策がすぐ見つからない事業者も、今後は、耐震化を本気で考えなければならないフェイズに入ったと認識し、耐震改修に取り組む必要性があるのではないでしょうか。(P.V)
[2018年6月公開]

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