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色相差・明暗差による視認性

高齢者施設等でよく目にする、視覚障害者を誘導・案内するために床面や路面に周囲と異なったもので敷設された福祉機器、通称点字ブロック(誘導用床材)はみなさんもご存知でしょう。選定ポイントは、色相差と明暗差への配慮です。今回は、誘導用床材を例にあげて、施設内における視認性向上について述べたいと思います。

 

人間の5感による情報判断の割合は、ある研究によると視覚87%、聴覚7%、嗅覚2%、味覚1%、触覚3%だそうです。つまり、普段は眼からのインプットでほとんどの情報収集を済ましていることになります。視覚障害者にとっても、目的地まで安全に誘導してくれる設備が求められ、誘導用床材では、距離をおいてもその床材まで確実にたどり着けるように、色により視認性を高めることが重要です。

 

ただし、弱視者や色相障害者は、ある程度の残視機能を有していますが、色相差で色を見分けるのが困難で、明暗差によってものの存在を識別しています。また色相差は光源や光量の影響を受けやすく、状況によって識別できないことがあります。そのため、視覚障害者に安定して情報を伝えるためには、色相差だけではなく明暗差にも配慮することが大切です。明暗差は輝度比によって表すことができます。輝度の数値そのものは、照明の照度や色温度によって影響を受けますが、ふたつの色の輝度の差(輝度比)は、ほぼ一定しています。輝度比を確保することによって、視覚障害者の視認性を高め、床材を認知させることが可能になります(注1)。

 

ここまで、誘導用床材を例にあげ、視覚障害者の視点で視認性の重要性について述べてきましたが、視認性の観点は特定の施設だけではなく、企業が保有している施設(工場、事業所、社宅・寮など)内においても、参考になるポイントだと思います。構内において各種の注意喚起、啓蒙をする際にも、ツールの種類を問わず、色相差と明暗差に配慮することにより、視認性の効果を高めることができます。 視認性の向上につながる施策を構築することもファシリティマネジメント業務の一部であると考えています。

 

注1 出典 高橋儀平「高齢者・障害者に配慮の建築設計マニュアル」彰国社

【2011年8月公開】

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