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被災マンション法

東日本大震災をもたらした巨大地震の発生から2年が経ちました。いまなお、30万人以上の方々が仮設住宅での生活を強いられています。また、事故を起こした福島第1原子力発電所の廃炉に向けた作業は100年という時間軸でみていく必要がありそうです。このような状況下、今年1月に「被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法」(以下、被災マンション法)の改正案が取りまとめられ、国会に提出される見込みとなりました。

 

通常、区分所有マンション(以下マンション)では、マンションの一部が滅失などした場合、区分所有法に基づき、復旧・建て替えすることになります。マンションを建て替える場合、議決権の5分の4の賛成で建て替えが可能です。しかし、災害などでマンションが全壊と認定された場合、区分所有法の対象であるマンションが存在しないため、民法が適用されます。区分所有者(※1)は残された敷地に対して、敷地利用権を有していますが、民法が適用されると、マンションを再建するためには、区分所有者全員の同意が必要ということになります。また、区分所有者が敷地の分割請求することにより敷地が縮小し、同規模のマンションの建築ができない恐れもありました。

 

このような問題に対処するため、被災マンション法は、1995年の阪神・淡路大震災を契機に制定されました。この法律のなかで、全壊と認定されたマンションの区分所有者は3年間、敷地の分割請求ができないこととし、マンション再建する場合、議決権の5分の4の賛成で再建が可能とされました。阪神・淡路大震災では、この法律により全半壊したマンション172棟のうち、108件もの建て替えが決定しました。

 

しかし、この法律にも問題はありました。そもそも建物の全壊とは、内閣府によれば、「住家がその居住のための基本的機能を喪失したもの、すなわち、住家全部が倒壊、流失、埋没、焼失したもの、または住家の損壊が甚だしく、補修により元通りに再使用することが困難なもので、具体的には、住家の損壊、焼失若しくは流失した部分の床面積がその住家の延床面積の70 %以上に達した程度のもの、または住家の主要な構成要素の経済的被害を住家全体に占める損害割合で表し、その住家の損害割合が50%以上に達した程度のもの」とされています。つまり、マンションが残っていても柱・梁などの損壊がひどいと全壊と認定されるということです。この場合、被災マンション法では取壊しについての明記がないため、区分所有者全員の同意が必要になります。このたびの改正案では、取壊しについても議決権の5分の4で可能になることなどが盛り込まれました。

 

このように法律の整備が進むことにより、被災マンションの再建に関する手続きの迅速化が図られることが期待されますが、震災を忘れず、万一、自らが被災した際の対応についての議論を管理組合の中で深めていくことが何よりも重要なのではないでしょうか。(P.Sちか)

 

※1 正確には、マンションが全壊した時点で、区分所有者は敷地共有者になりますが、本文においては、混乱を避けるため区分所有者のまま記述します。
[2013年3月公開]

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