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FM TIPS 

「FM」とは(番外編):大震災とFM 

3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震は、日本の観測史上最大のマグニチュード9.0を記録し、東日本の太平洋沿岸を中心に広域でかつ甚大な被害をもたらしました。この東日本大震災により、亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被害にあわれた方々に、心より、お見舞いを申し上げたいと思います。

 

この巨大地震の発生から早2ケ月が経過しました。そこで、今回は、震災と「FM」との関連について、思考してみたいと考えます。

 

前号で、「ファシリティマネジメント(FM)」とは、重要な経営資源である「施設」を、「ヒト、モノ、カネ」と同じように、専門的な知識や技術に基づいてしっかりと「管理」することではないか、と述べました。したがって、地震や津波などの自然災害に起因する被害を想定し、施設面における様々な対策を講じておくことも、「FM」の重要な役割といえます。

 

例えば、建物自体の耐震性能を確認したうえで入居するビルを決める、室内の家具や備品などの地震による転倒防止を講じる、地震により引き出しなどが飛び出ない機構(「ラッチ」といいます)をもったキャビネットを選定する、などはとても基本的な事項といえます。建物自体の耐震性能については、1978年に発生した宮城県沖地震をきっかけとして1981年6月1日に改正された 建築基準法施行令、いわゆる「新耐震」に準拠しているかがひとつの目安になります。

 

また、首都圏においては、巨大地震発生当日、公共交通機関の運休により、大量の帰宅困難者が発生しました。私も、そのうちの一人でした。そのような事象を予測した防災備品や食料・飲料の備蓄などの対策を講じることも、一般的には、FMの領域として認識されています。

 

さらに、直近の課題として、福島第1原子力発電所の事故に起因する電力供給不足への対応は、法人のみならず、個人おいても、果たすべき責任であるとの共通認識ができあがっています。この「節電」についても、まさに「FM」の出番です。業務遂行とのバランスをとりながら、施設内の照度や温度の調整をすることはもちろんのこと、計画的に省電力タイプの設備へと更新すること、なども「FM」の役割です。オフィスにおける室内照度においては、「机上面750ルクス」が一般的な基準とされていますが、今回の「節電」を受けて、専門家の間でその妥当性を問う声が出ています。今回の大震災は、様々な事象の見直しを促進しているように感じます。

 

また、同じく原子力発電所の事故による放射性物質の漏えいへの対応として、首都圏の事業所機能を見直し、関西や九州にその機能を移転する動きも一部にあります。さらに、首都圏で巨大地震後に発生した通勤困難という状況下での事業継続のために、テレワーク(在宅勤務)の導入を検討する企業も出てきているようです。このような計画を施設面から、立案し実施することも、「FM」なのです。

 

このように、今回の震災から「FM」を思考すると、BCP(事業継続計画)の観点からも、「FM」が機能すべき領域は広く重要であると再認識せざるをえません。

【2011年5月公開】

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