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建物の遮熱

本格的な夏がやってきました。2005年に始まったクールビズも、一般化してきました。6月に気象庁が発表した3ヶ月予報では、今年の夏の気温は平年並みとの予報が出ていますが、報道されているように、毎年異常ともいえる猛暑日の日数となっていることも事実です。

 

脱水症状や熱中症への対策は、メディアでも盛んに取り上げられ、予防法から熱中症になった場合の対処法まで、皆さんもご存じかと思います。では、建物への対策は、どうでしょうか。

 

新しく建てられる建物には必ずといっていいほど、「断熱材」が使用されています。この「断熱材」は、外部の気温が建物内部に伝わらないように、または建物内部の気温が外部に伝わらないように、「熱が伝わるのを断つ」目的で使用されている部材です。熱の伝わり方には、「三原則(対流、伝導、輻射)」があります。「断熱材」は、この「三原則」のひとつである「伝導」への対策となります。発砲スチロール製の保冷バッグがイメージしやすいかもしれません。「断熱材」である発砲スチロールが、バッグ内部の熱(冷たさ)を外部に、バッグ外部の熱を内部に、それぞれ「伝導」 しにくくすることによって、バッグ内部の温度を一定に保とうとしているのです。

 

これに対して、「遮熱」とはどういったものなのでしょうか。「遮熱」は、「三原則」のひとつである「輻射」を抑えることにより、熱が伝わりにくくすることです。太陽光によって、ものが温められるのは、この熱の「輻射」によるものです。即ち、太陽光を反射させることによって、「輻射」を抑えることができるのです。車のフロントガラスに銀色のシートを置くことによって、車内の温度上昇を抑えることができるのは、この原理です。建物も同様です。具体的には、アルミ粉やセラミックを混ぜた塗料やグラスウール断熱材にアルミ箔を張る、またアルミ粉を吹き付けて固着させた部材などを外壁に用いて「遮熱」します。

 

建物は、日中に降り注ぐ太陽光により、熱を蓄えてしまいます。この蓄えられた熱が、ヒートアイランド現象の一因ともなっています。太陽からの熱で暖められた建物がいつまでも熱を持ち、逆に建物自体が熱を放出し続ける(上記の熱の三原則で言えば、輻射にあたる)という事象に対して、「遮熱」は非常に大きな効果を発揮します。

 

市販されている遮熱材のメーカー各社も遮熱実験の結果を公表しており、屋根に遮熱材を取り付けた場合とそうでない場合とを比較して、屋根裏の温度が4度ほど下がるという結果も出ているようです。

 

ますます暑くなってくる夏に向けて、建物の維持保全という観点から、さらには居住者の快適な環境の維持という観点からも、従来の技術のみならず、ともすれば躊躇しがちな新たな技術の導入も選択肢に加えていくことが肝要と考えます。(M・F)
[2014年07月公開]

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